たなばたの日には


「ヒコ、おっはー。」

「なんだよおまえ、なにやってんの?」

「みてわかんないの?」

「あんまりわかりたくない・・・」

 俺の彼女の織絵は、変なやつだ。
 顔はかわいいし、性格もかわいくて、実のところべた惚れなんだけど、なんか、変なやつだ。
 今日も学校に行くためにむかえに行くと、なぜか玄関に、浴衣姿で立っていた。

「おまえ、それで学校、行く気?」

「ん? 学校は行かないよ、今日は。」

「は? 」

「ほらほら、ヒコ、早く」

 そう言った織絵に手を引かれ、家の中に連れて行かれると、そこは、天の川、だった。

「え・・・?」

「ヒコ、いきなりいなくなっちゃったからびっくりして、追いかけてきたんだよ」

「は?」

「でも、いつもは7月7日しか会えなかったのに、こっちに来てから毎日会えて嬉しい」

 ええと、これは、つまり。

「あぁ、おまえだったのかー。」

「そうだよ、気付かなかったの? 」

「ごめん」

 素直に謝ると、織絵はにっこりと笑った。

「いいよ。私は忘れないもん。絶対、どこに行ったて見つけて思い出させてあげるから。」

 そう言って笑った彼女を、とてもかわいいと、思った。

「いや、次は絶対、俺が見つける」

「ほんとに? 」

「ほんとに。」

「じゃあ、期待してるね」

 やっぱりかわいい。昔も、今も。かわいくてしかたがない。
 今度は絶対忘れないで、俺が必ず彼女を見つけよう。
 天の川の星のひとつにそう誓って、俺は彼女の手を取った。

   

fin.   



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