「春の好きなハルさん」



ハルさんの好きなこと。
おさんぽ。
ひなたぼっこ。
空をみること。

「ハルさーん。今日もいい天気だねー」
今日もひなたでうとうとしているハルさん。
声をかけると、あくび。
そしてもそり、とおきあがり。
うーん、と大きく伸びをして。
お出かけするのかな、と思ったらまた寝転んでしまった。
その姿に思わず笑ってしまったら、ハルさんは軽くこっちを見て鼻で笑った。
「なんだよー、鼻で笑うなよなー」
ちょっといじけたふりをしておなかをつついてやったら、嫌そうに身体をよじる。

開け放った窓辺。
暖かい風が吹く春。
座布団に陣取るハルさん。

そこへ、ひらひらさくらのはなびらが舞い込んだ。

と、私がそれに気をとられている隙に、ハルさんは空を見上げる体制になっていて。
その金色の眼に映る空を見ていたら、唐突に眠気が襲ってきた。

ころん、と私が横になると、ハルさんはまた鼻で笑って、のそりと立ち上がった。
「あれ、ハルさん、お散歩?」
音もなく立ち去ろうとする後姿に声をかけると、ハルさんは振り向きもせずにしっぽを振った。
つれないお方。

ハルさん御年14歳。
今年も無事に春を迎え、もうすぐ15歳になる、ステキなおばあさんだ。


おわり。

新歓用に数十分で書いた春のおはなし。






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