みー君


   今年も新緑の間から、みー君を見つけることに僕は成功した。
   みー君は緑を芽生えさせる妖精さんだ。ちなみに僕以外の人には見えない。

  「ねぇ、みー君ってこの時季以外はどこで何してるの?」

   ある日僕はみー君に聞いてみた。

  「ふつーの少年。」

   みー君は結構クールだ。なんか夢のある仕事をしてるくせに、無表情だし無口だし。

  「普通の少年のときもそんな感じなの?」
  「さあね。」

   みー君は今日はちょっと機嫌が悪いみたい。
   しかたないのでみー君と話すのを断念して家に帰ったら雨が降り出した。

   みー君は照れ屋だ。決して多くを語らない。
   でも僕はおかげで濡れずにすんだ。

   木々の緑は、少しづつ、淡い色で、生まれる。
   まるで照れ屋のみー君みたいに、すこしずつ、ほんとの色になる。
   次の日またみー君を探したけど、もうどこにもいなくなってた。

   でもそのかわり、僕のクラスに男の子が転校してきた。

fin.   



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